足早にアパートへ向かった。
怖いが、飯間が心配だ。
心に病があるのならそんな状況堪えられるわけがない。

僕が助けないと、飯間が田中が…

使命感に似た感情が僕を駆り立てる。

使命感と言ってしまえばかっこいい。だけど実際はただ皆笑顔にしたいだけ。それが僕のためなんだ。

飯間の部屋に近づいてきた。ラストスパートをかけて勢いよく扉を開けた。

「飯間!!」

返事をしたのは飯間ではなかった。

「おかえりなさい。早かったですね。」

「飯間はどこに!?」

「気になるならば答えなさい。田中はどこで何をしている。金はどうするつもりなんです?」

男の目には力があった。きっと僕では勝てない何かがある。

「田中さんには確かに会いましたが…場所を言う気はありません。お金のことについては話していません。」

「なんだと?ガキがなめるなよ?場所をいいたくなるまで遊んでやろうか。」

足が震える。逃げたい。逃げられない。

「構いません。しかしその前に飯間に…」

男が会わせるわけないだろうと言わんばかりに嘲笑う。

「そんな…」

「さぁ事務所で遊ぼうか。」

僕の髪を掴み力強く引きずる。

「痛っ、はなしてくれ。」

痛い、怖い。何も抵抗できない。悔しい。