何日も取り立ては続いた。

そんなある日、もう一人の住人が、僕の部屋へやってきた。

「田中さんの行方がわかったぞ!」

壁の薄い部屋だ。スーツの男にも聞こえたんだろう。なんてタイミングの悪いことを。

「なんだか楽しそうな話をしてるね。俺たちにも教えてくれないか。」

すかさず答えたのは僕。
「そんなことないですよ。気にしないでください。」

「黙れぇ!!」
口調をあらげた男は、続けて僕を疑った。

「なぁ兄ちゃん?この間、田中を知らないって言ってたよな?どういうことだ?何か隠してるなら言ったほうがいいんじゃないか?」

言い方は優しかったが、これは僕を脅している。
「なぁ飯間さん?隠し事はよくないよなぁ?」

飯間とはもう一人の住人のことだった。

飯間は怖じけづいて何も話せない。