それからというと、彼佐々森直樹君とは喋ったり遊んだりと凄く仲良くなり、今クラスで一番仲が良いのは?と聞かれたら、すぐに直樹君と出るぐらい仲良くなった。
美咲とも気が合うみたいでいつも三人で一緒にいる。
美咲と直樹君がいるだけで毎日が凄く充実している。
二人とも大好きだ。

いつものように美咲と帰っていると、急に美咲が、
「紗理奈、直樹君の事どう思ってる?」
と聞いてきた。
「別に友達としか思ってないよ」
と私は言った。
「良かった~!私ね実は直樹君の事気になってるの。直樹君には内緒ね。」
「そ・・そうなん・だ」
私の言葉に嘘は無い。本当に直樹君の事は友達だと思ってる。
なのに何でこんなに動揺してるの?
私どうしちゃったんだろう?
そうだっ美咲に気になる人ができたからだ!きっとそうだ!そりゃぁ好きな人も出来たこともない私達に気になる人ができたらビックリするもんね。
「良かったね美咲!」
なんだろう心から応援出来ないな・・・

それからというものの直樹君とは喋らない毎日が続いた。さすがの直樹君も私が避けているのに気づいている。直樹君を見ると胸がモヤモヤしてよく分からなくなる。だから直樹君とは喋りにくくなってしまった。直樹君と喋らなくなって一ヶ月。その間に席替えもしてしまって、もう直樹君とは遠くなってしまった。

今日も直樹君と喋らずに一日を終わろうとすると、
「紗理奈」
と優しく呼び止められた。
もう振り向かなくったって分かるこの声は仲の良かった直樹君の声だ。
「なっ・・何?直樹君・・・」
私はどうしていいか分からなかった。
「紗理奈・・こっち向けよ」
無理だ。直樹君の顔なんか見れない。
「俺の事嫌いになったのか?」
寂しそうな声で直樹君は私に話しかけてくる。
私は首を横に強くふった。
「じゃあこっち向いてくれよ・・・」
駄目だよ。今直樹君の顔見たら私っ
グイッ
「あっ!!」
無理矢理腕を引かれた私はびっくりして直樹君のほうを向いてしまった。
「やっとこっち見た」
柔らかく優しく微笑む直樹君を見て、言葉にならない思いが込み上げてきて私の胸が熱くなった。
恋をしたことの無い私にでもはっきり分
かる今私は恋をした。
窓の外を見ると遅咲きの桜が綺麗に咲いていた。