10回以上押したあと、A君はあきらめたようにドアから離れた。「確かに音がしたような気がしたんだけど」と納得のいかない表情をしている。「もういい。帰ろう」A君の腕を引っ張り、階段を降りようとすると、Sさんの部屋の隣にある201号室の前で立ち止まり、「何か知ってるかもしれない」とまた今度はそのドアのインターフォンを押す。