「いや、確かに音がした」A君は冗談を言っているようには見えない。「誰がいるのよ」と言いたいが上手く声が出ない。急にしゃべり方を忘れてしまったみたいだった。「いいから、お願いだからもう帰ろう」インターフォンを連打する音に気が狂いそうになる。やめてよ、そんなことして本当に何かが出てきたらどうするのよ。