「お前らぁー!
さっさと学校へ入れ!」

「げっ、まだ門の前にいやがる。」

学校に着くと10分程遅刻をしてしまって居たが、まさかまだ見張りの先校が居るとは。

予想外だ。

「早く走らんか!
もうとっくに授業は始まっているぞ!
おい、聞いているのか?!」

「うるせーな。
今歩いて教室に向かってんだろ。
しかもまだホームルームだっつーの。
授業なんか始まってねーよ。」

「そーだそーだ♪
ちゃんと理解しよーね♪
せーんせい?」

夏輝(なつき)がいつものテンションに戻った。

さっきまでこの照りつける暑さでやられていたのに。

単純な奴だなと思いながらも教室へ向かう。

「ねね!
もう転校生来てるんじゃね??
やべー!
ちょー楽しみなんだけど!!」

楽しみにしてるのなんてお前ぐらいだよ。
なんて思いつつも教室のドアを開けるとまだ担任は来ていないようでクラスが騒ついていた。

「「あっ、愛輝(よしき)に夏輝だぁー♪
おはよー♪」」

「うっす。」

「おはー♪
あれー?
そう言えばまだ転校生来てないの?」

「まだ来てないよー笑
先生ですら来てないもん。」

「そっかぁー。」

たかが転校生がまだ来てないぐらいでこんなにもがっかりするものなのだろうか。
と思っているのもつかの間。

学校が始まってから20分たってやっと教室のドアが開いた。

ガラッ。

「うぃーす。
みんな、おはよー。」

俺のクラスの担任の木村(きむら)だ。

いつもダルそうにしながら教室に入って来てダルそうに出席をとっていくが、今日はやけにダルそうだな。

「おーい。
愛輝に夏輝、早く席に着け。」

「はぁーい。」

夏輝がそう言うと席に着いたので俺も無言で席に着いた。

夏輝の方を見るといつも楽しそうな顔をしているが今日はいつも以上に楽しそうだ。

どんだけ転校生に期待してるんだよ。
と思って居ると木村が口を開いた。

「んでは、夏輝が楽しみにしていた転校生を紹介するぞー。」

木村がそう一言言うとクラスはぶわっとどよめいた。

みんな笑って居る。

木村にまで知られていたとは!
みたいな顔をして夏輝は驚いて居るが、昨日からあんだけ騒いで居れば誰だって分かると思う。

正直言うと俺は転校生が来る事はついさっき耳にしたが。

「入って来ていいぞー。」

「…はい。」

その言葉が聞こえると、今まで騒ついていたクラスが一気に静まり返った。

アニメでしか聞いた事のないような凄く高くて可愛い声。

これぞまさにThe女の子!
って感じだ。

愛輝はニヤニヤしてるんだろうなと思いふと横を見るとやけに青ざめて居る。

えっ。
と思って居るとその転校生の女の子が教室に入って来たかと思えば口を開いた。

「あっ、愛輝ー!
久しぶりー!!!!
この学校に居るとは聞てたけどまさか同じクラスになれるとわー♪」

転校生の女の子は凄くニコニコしている。

俺は今の現状が理解出来なかった。

クラスも俺と同じで今の現状が理解出来ていない様子だ。

愛輝の方を見るとずっと無言で青ざめて居る。

愛輝とこの転校生の女の子は一体どういう関係なんだ。

「んで…なんでまた俺の前に現れるんだよ…!」

転校生の女の子が来てから発した愛輝の言葉がこんな一言だと誰もが思いもしなかった。