「…よしっ!
髪型おっけい!
服装おっけい!
笑顔…おっけい!!
もう完璧だね!」

赤城玻琉(あかぎはる)は、今日から旭高校に通います!

お父さんの都合で引っ越しが決まり、ここ愛川町に引っ越して来ました♪

どんな人が居るか凄く楽しみなのです♪

「むふふー♪
新しい制服だぁー♪
あぁー、早く学校に行きたいな♪」

「はーるー!
早く起きなさーい。
遅刻するわよー。」

「はぁーい。
てか、起きてるしー!」

お母さんに呼ばれ、急いで階段を降りると弟の賢人(まさと)に話し掛けられた。

「ねー。
玻琉。」

「な…何よ。」

私は賢人ととはあまり仲が良くなく、あっちから話し掛けてくるなんて珍しすぎる事であった。

「玻琉ってさ、旭高だろ?
俺も旭高にしといたから。」

「えっ、何で?
よりによって同じ高校なの…?」

「うん。
本当は玻琉なんかと同じ高校なんて行 きたくもねーけどさ。」

プツッ。

私の中で何かが切れた。

珍しく話し掛けて来たかと思えば、わざわざこんな事言う為だけに話し掛けて来たって言うの?

本当あり得ない。

「へぇー!
んじゃ、もっと上の高校にすれば良か ったんじゃない?!」

あぁ、もう本当弟なんて嫌い。

兄弟が居る人にしか分からないこの気持ちは本当どうする事も出来ないとつくづく思う。

一人っ子が羨ましいよ…。

そんな事を思ってると賢人の口からは思いがけない言葉が次々と出てきた。

「いや、別に玻琉と同じ高校が嫌だなん
て本気で言った訳じゃねーし。
まぁ、そのあれだよ。
うん、あれ。」

「…あれって何よ。」

「まぁ玻琉と仲良く一緒に通えたらな的 な事を思っただけ。」

「…えっ。」

余りにも衝撃な一言を貰った私はとうとう言葉が出なくなってしまった。

賢人は昔から俺様タイプの凄くムカつく奴で口なんて今まで17年間生きて来てろくに交わした事も無かった。

そりゃ、学校じゃ人気者でしょうね。
みたいな顔つきをしていて私と正反対だなと思う事はしょっちゅうであった。

本当に学校では色々な意味で人気者で、
バレンタインだってどんだけ貰ってくんのよって言うくらいたんまりと有るし、
なんだかんだでクラスのまとめ役的な存在にもあるみたいだし。

全く賢人とは関わり持つ点も無かったしあっちだって持つ気も無かったと思う。

なのに何故か今更仲良く兄弟ごっこをしたいみたいな?

「俺がそんな事思っちゃわりーかよ。」

「いや、別に…。
でも賢人がそんな事言うとは思わなか た…。」

そんな事言っていると鬼みたいな顔した人がこっちに来始めた。

「あんた達いつまでここに居るの…?
早くご飯食べて学校に行きなさい!」

「「ごっ…ごめんなさーい!
すぐ食べてすぐ行きまーす!」」

私の朝はいつも通りには来ないで、
なんだか変な感じで始まってしまった。

いつも通りの朝が来て
いつも通りの授業が始まる。

そう思っていたのに私の身にあんな事が起きるなんて誰も想像がつかなかったと思う。

そう、誰も。