ミーンミンミン。

8月下旬、俺達は日差しが照りつける中、心を無にして歩いていた。

何でかって?
暑いからに決まってるだろ。

「あちぃーー。
んで、夏ってこんな暑いんだよ。」

「そりゃ、夏だもん。
仕方ねーよ。」

「てか、学校まじ遠すぎ。
俺等の事殺す気かよ。」

「はっ、こんな所で人生終わってたまる か。
さっさと行くぞ。」

俺達の学校は、なんだかんだで歩いて1時間近く掛かる所にある。

チャリで行けばいいものの、俺の学校はチャリ通が禁止されているので歩いて行かなくてはならない。

だから結局歩いて行くしか方法が無いのだ。

俺の学校の校長は頭がいかれてるよ、本当に。

「そう言えばさ、今日転校生来るらしい よ。
男かな?それとも女かな?!」

「お前本当女子好きだよな。
聞いてて呆れる。」

「はぁー?
んだよ、それー。
男はみんなそう言う生き物なんですぅ ー 。」

「俺は違いますぅー。」

何が転校生だ。

よく漫画とかであるあれだろ。

転校生と知り合いだったとか
転校生と恋に落ちるとか
転校生と…。

もう数え切れねーよ。

俺はそう言う学園ラブストーリー的なのが大っ嫌いだから本当いい。

転校生とか本当来なくていいから。

そんな事を思っている間もこの暑い中歩かなくてはならないので考えてるのも嫌になってくる程だった。

そんなこんなでいつも通りに学校に着く。

いつも通りの朝が来て、
いつも通りの授業をする。

一切なんにも変わらないこのつまらない日常を一変させてくれるあの出来事があるなんてまだこの時には思いもしなかった。