ユ「ばっちりだよ」
右手の親指を立てながらユアンは答えたため、私は片手を上げて唱えた。
「ラルド・ケール・ロ・ロザルト・ナ・トライト・マルト」
意味は「彼が言ったように戦いの間は私たち以外に手を出さないことを誓い契約し、彼らに防御魔法を張る」ということだ。
少々意訳してあるが、大体こんなものだろう。
男らは、またもや驚いた顔をして言う。
男A「……お前ら、どうして……」
「敵の情報を持たずして勝つ気だったの?」
私たちは、嘲笑うようにして言った。
男らは、私たちが魔法を使ったことは分かったようだが、なにの魔法かまでは分かっていないようだった。
「今の会話はすべてユアンの魔法によって録音されていてね、それを使って契約魔法をしたんだよ。もし兄様たちに手を出したらあなたたちの体、飛ぶから」
ユ「契約魔法の重複は不可能。そして、一つ教えてあげるなら俺たちはこのくらいのシールドは無視できるくらいの魔力はあるよ」
男たちの顔が少しずつ青ざめていく。
おそらく、このシールドは三人のお兄様たちの中で一番魔力が高いレオお兄様にあわせてある。
そして、力勝負なら負けない自信でもあったのだろう、男たちにもそのシールドの効果があるようで、魔力が一切感じられない。
私たちが魔法を使えたこと、一筋縄ではいかないことは誤算であったのか目に見えるほどに焦っていた。