何故か。
それは、やはり身分である。
私たち二人は、これを狙ってやったのだ。
口で、敬語をやめろと言ってやめてしまうような人は、このような会場にはいない。
だから。
頭を下げたのだ。
身分が上の人に頭を下げられる。
すると、会場の人が双子に頭を下げられた伯爵に張るレッテルは「伯爵が公爵令嬢と令息に頭を下げさせた」なのだ。
伯爵はこの状況から早く抜け出したい。
そして、伯爵は抜け出す方法がひとつしかないことも分かっていた。
オ「……分かりまし……分かったよ……」
周囲の人に聞かれないようにするためか、伯爵は小声で言った。
オ「ただし、お前らも敬語つかうなよ。そして、それは非公式の場だけだ。お前たちのような子供にはまだ難しいだろうが、これは、ルールなのだから」
お前たちのような子供と言われたとき、私もユアンもなにか言い返そうとしたが出来なかった。
事実、貴族の縦社会のルールやいわゆる暗黙の了解というものも理解できていないのだから。
「……分かったよ」
しぶしぶそういった私の横で、ユアンは不安を隠せずに頬を膨らませていたのだった。


