世界一幸せな国Ⅰ



何故か。


それは、やはり身分である。



私たち二人は、これを狙ってやったのだ。


口で、敬語をやめろと言ってやめてしまうような人は、このような会場にはいない。




だから。


頭を下げたのだ。




身分が上の人に頭を下げられる。


すると、会場の人が双子に頭を下げられた伯爵に張るレッテルは「伯爵が公爵令嬢と令息に頭を下げさせた」なのだ。


伯爵はこの状況から早く抜け出したい。


そして、伯爵は抜け出す方法がひとつしかないことも分かっていた。


オ「……分かりまし……分かったよ……」



周囲の人に聞かれないようにするためか、伯爵は小声で言った。




オ「ただし、お前らも敬語つかうなよ。そして、それは非公式の場だけだ。お前たちのような子供にはまだ難しいだろうが、これは、ルールなのだから」



お前たちのような子供と言われたとき、私もユアンもなにか言い返そうとしたが出来なかった。


事実、貴族の縦社会のルールやいわゆる暗黙の了解というものも理解できていないのだから。


「……分かったよ」


しぶしぶそういった私の横で、ユアンは不安を隠せずに頬を膨らませていたのだった。