あなたがいつも持っている、一眼レフが大嫌いだった。

公園や遊園地でデートをしている最中に、写真撮るよと言われると、私はいつも不機嫌そうな顔をして、嫌だと言った。

「なんで写真が嫌なんだ?」
「だって見直した時にああ若い時の私だ、って思っちゃうじゃない」

自分が花の花弁のように、一枚また一枚、はらりと枯れていくのが嫌だった。すると彼は困った顔をして、

「お前がどんなに老けようと、俺はお前と一緒にいられたらそれで構わないよ」
「本当に?」
「本当。絶対にずっと一緒にいるからな」

ようやく機嫌を取り戻す。
彼は私を抱きしめるために、さっと一眼レフを鞄の中に戻した。