「お前、へったくそだなぁ
音、すっかすかじゃん」


「え〜、だったら、やってみせてよ」

「いいぜ!指パッチンはな、
こうやるんだぜ」



パチン。



ああ。

嫌な音。



嫌でも、思い出すあの日のこと。
走馬灯みたいに…

まるでホントに
死ぬ間際みたい。


私に降り掛かった呪いみたいな
災難。



そんな悲劇の私を救ってくれる人。

そんな、都合の良い人は、
昨日、私の元から去ってしまった。

都合、良くなかったか…
そもそも、アイツが元凶だし。




どうしよう。




あ〜、ガキども〜!
ウルサイぞ!

この本を仕舞い終わったらな、
それまでに
黙ってなかったらな…

私だって、ドスのきいた声で
怒るんだから!!



あ…



あれ…


ヤバイ、かも。

息が…

空気が…

なんか薄くて、
心臓、痛い。