変わったことはいくつもある。
母が過保護になった。
というよりかはプライベートに踏み込んでくるようになった。
…のほうが正しい。
わたしの体調面はもちろん、持ち物まで細かくチェックを入れて、まるで観察するみたいにわたしを見る。
父が無口になった。
話し掛ければ答えるけれど、それ以外ではどこかぼんやりとした表情で眈々と日々をこなし、ふと思い出したかのようにため息を漏らす。
『こよちゃん』と呼ばれていたのが『暦』と呼び捨てになった。
休みの日に出掛けなくなった。
両親が並んでソファーに座っているのに手を繋がなくなった。
静かな食卓
そっけない会話
増えない思い出
持て余す休日
それでもわたしは必死だった。
笑ってよ。
わたしを見てそんな淋しい顔をしないで。
わたしは、泣くのをやめた。


