長い夜を越えた朝、降りしきっていた雪は止んだ。
春はまだ遠くても、昨日よりかは正しく生きられる気がした。
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『卒業おめでとう、暦』
高校の卒業式を終え、昼から頼んだ宅配ピザを頬張るわたしに父は言った。
わざわざ仕事を休んでまで式に参加してくれたのに、外食しようと言う父をわたしは拒んだ。
『まぁ、晴れてフリーターの身になっちゃったから、そんなめでたくもないけどね』
でも、ありがとう。と付け足して返した。
あの日から1年と3ヶ月。
会話はそこで終わった。
食事を済ませ母の後片付けを手伝い、夜なにが食べたいか尋ねる母に、ハンバーグと答えた。
父がリビングを出た後、お父さん、式のとき泣いてたのよ。と母がわたしの横顔に告げた。


