途端に、視界が滲んだ。 昨日の夜枯れたはずの涙は、まだまだ残っていたんだ。 「…彼女、いるくせに…」 「…え?」 「こんなこと、しな―…っ」 泣きじゃくるあたしを再び引き寄せた亮佑さんは、後頭部に手を回し あたしの唇を、塞いだ。 「…ん、やだ…」 なんとか言葉を発した隙間から、器用に入り込んでくる舌。 「はぁ…んっ…」 嫌、嫌だ…! また“あの時”みたいに、強引に。 あたしの心だけを掻き乱していく。