「え…」 思わず漏れた声。 状況についていかない頭。 「奈緒…」 切なく、甘く呼ぶ声は、何を意味するの? こんなことをされたら、あたしはまた勘違いしてしまうの。 「…やっ…!」 また、離れていってしまう。 急に怖くなったあたしは、亮佑さんを力一杯突き放した。 少し驚いたような顔をする亮佑さん。 苦しい…亮佑さんの傍が苦しい。 聞きたいこと、伝えたいこと、たくさんあるのに。 上手く言葉を紡ぐことが出来ない。