「奈緒、話がある」 あたしの目を真っすぐに見て、真剣な顔で言う亮佑さんから目が離せなかった。 「え、奈緒ちゃん知り合い?」 「あ…ちょっと、いろいろあって…」 そう説明しているあたしの手を掴み引き寄せる。 「奈緒、借りるぞ」 「どうぞ〜」 「ちょ、伽奈先輩…!」 呆気なく見放されたのと、亮佑さんの行動に頭がついていかない。 「あのっ…亮佑さん…」 呼びかけても、亮佑さんの返事はなかった。