「平気じゃねぇだろ」 「ほんとに、大丈夫だから…」 もちろん、―…嘘。 でも平気なフリだけでもしないと、あたしは壊れてしまいそうで。 「瀬戸先輩」と呼びかけた自分と同い年くらいの女の子が、ごく自然に腕を組んだことが あたしの脆い心を、ボロボロにしたんだ。 「…でもごめん。今日はパス…」 「…送ろうか?」 下を向き、静かに首を横に振るあたしの頭を隆哉は優しく撫で 「気をつけろよ」 そう言って去っていった。