向かい側の歩道から声がする。 “瀬戸”…? 思わず声のする方に目を向ける。 「…亮…佑、さ…」 消え入りそうなくらいに小さく呟いたあたしを、隆哉が覗き込む。 「奈緒?どうし、た―…!」 あたしを見た隆哉は、きっと驚いたんじゃないかな。 あたしもすぐには分からなかったけど、涙が頬を伝っていた。 「おい、奈緒…?」 「…あ、ごめん!平気…」