その手が、あたしの頬に触れることはなく 脱力したように落ちた。 そして、少しして荷物に手を伸ばし 「…またな」 そう言って亮佑さんは出ていった。 ―バタン 音を立て、虚しく閉まった扉。 その場に崩れ落ちたあたしは 一筋の涙を流し、ただ扉を見つめていた。