ふぅ。やっと帰れる。

家を目指して歩く。

―スタスタ。

え?振り返ってみる。

「何だ、誰もいないじゃんか。気のせいか。」

―スタスタっ。

やっぱ、つけられてる?

携帯を握り締める。

「あっ、あの!新空 里衣奈さんですよね…?」

突然、あたしの学校の制服を着た少年が声かけてきた。

「う、うん?そうですけど?どうしたんですか?」

「ぼっ、僕…」

「ん?何?」

「新空さんの事………きです」

「え?」

「新空さんの事、好きです!僕と付き合ってもらえませんか…?」

すると、突然誰かの腕があたしの首にスルッとかけられ、顔が近くなる。

「ごめーん、君誰だっけ?こいつは俺のだから。」

そうやって、男の子をはらったのは…涼太だった。

あたしは霞花浦の事嫌いなはずなのに…

何であんたがあたしの事構うのよなんて、心の中では叫んでいたけど、それに対して心臓がバクバクいっていた。

「っえ?!は?ちょ、霞花浦意味分かんないんだけど」

「じゃあ、行くから。ごめんねー」

えぇー!!

霞花浦に手を引っ張られながら、家に帰る道を行く。

霞花浦の手が首元から、あたしの手へと移動する。

そして、いつの間にかあたし達は“恋人つなぎ”をしていた。