猫の行方




子猫は少し弱々しい声で鳴いている。




何を訴えたいのか私には何となく分かった。




「ねぇ。」




「「ん?」」




「食べ物持ってない?」



合ってるかどうかは分かんないけど、私はそんな気がした。



「あー。」



「あっ、直人! お前持ってたよな!」



「持ってたっけ?」



「ほら、ドーナッツ。」



「あー。持ってるよ。」



「それってどんなやつ?」



「あー。 あれだ。名前なんだっけ? 回りに砂糖凄くかかってるやつ。」



「ポン・デ・リング?」



「あー。それだ。これあげようぜ。」



「待てよ。ポン・デ・リングは砂糖かかってるから駄目なんじゃないのか?」



確かに………。



どうしよう……………?



「あっ! そうだ! 直人君! ポン・デ・リングちょーだい!」



「えっ? 良いけど。」



「おい。 猫って甘いもの駄目なんじゃねーの?」



「大丈夫! 甘いところはあげないから!」



そう言ったとき、一輝君と直人君は顔を見合わせた。



私は直人君にポン・デ・リングをもらうと、ポン・デ・リングの中をほじくり取った。



ほじくったドーナツを猫にあげた。



すると子猫は美味しそうに食べた。