「ただいま…」


あの後、ガラスが飛び散って何も無くなった窓から出ると、少し重い足取りで家に帰ってきた。
人を殺したり、いきなり悪魔が出てきたりとなんだか疲れる1日だった。


でも同時に嬉しかった。
私が頑張ったお陰で价くんに言い寄る女は消えた。
しかも价くんからあんな忌まわしい記憶があの女と共に消えてくれたのだ。
それで私だけの价くんは守られる。


「お帰りなさい。凛。遅かったわね」
「あ、ママ。ちょっと用事があったの」


奥から出てきたのは私のママ。
もう40代の後半になろうかと言うのにとても綺麗で若々しい。
私の自慢だ。


「そうなの。パパはさっき仕事の電話がきて、打ち合わせに行ったわ。また、何日かいないみたい」


パパは石工の仕事をしていて、結構忙しいみたい。
家では仕事の話とかしないし、いつも笑顔で疲れた顔も見たことなかった。
元気な人でとってもカッコいい。