「用があるときは、心の中でボクを呼んでくれたらいいよ~すぐ行くから♪」
「…わかった」
「よ~し、じゃあボクはいろいろ見てこようか…『兄さまーーーー!!!!!』


「「!?」」


いきなり大音量の声が部屋中に響いた。
いったいどこから…?


私が声の主を探していると、悪魔は宝石みたいなのを取り出した。
どうやら、さっきの大声はこれから聞こえてきたらしい。


「ど…どうしたのユウナ…?」


一応笑顔を保ってるけど、ひきつってるように見えるのは、きのせいじゃないみたい。


『どうしたの?じゃないですよ!今どこにいるんですか!!』
「えっと…人間界にいるけ…『わかりました!今すぐ参ります!』


一方的にいわれると、通話が切れたらしく、声が途切れた。


「……」


顔面蒼白な悪魔…
なかなかシュールな光景ね…
ちなみに笑顔じゃなくて、死んだ顔で。


しばらくしてから、ハッとなってもう手遅れだけどニコニコしだした。
それから私の方を向いて


「じゃ…じゃあボク用事ができちゃったから行くね!あ、この子に関係する記憶は消しとくね!」


と、かなり焦った様子で言った。
最後の方はかなり早口だった。


「そういえばあんた名前は?」
「え?名前!?ボクはユウだよ!」


急いでるのになに言ってんだろ私、と思いながらも聞くと、早口だけど律儀に答えてくれた。


「それじゃあね!!」


と、言って悪魔…ユウは飛んでいった。