あの子じゃなくて私を見て


「嫌いじゃない……か」


誰もいない教室で、そっとつぶやく。


(こんな広かったっけ……?)


私一人の教室はいつもより静かで、広く感じられた。


「そんなの……、気休めにもならないよ」


まだ涙は止まらない。


『嫌いじゃない』という言葉に、いったいどれだけの意味がこもっているのだろうか?

嫌いじゃない……からといって
好きでもない。

じゃぁただの友達で良かったのでは?

でも瑠衣は『嫌いじゃない』
と言った。

きっと瑠衣なりに考えて
答えをだしてくれたんだろう。


そう考えても、涙は止まらなかった。


「……どうしかした?」