あの子じゃなくて私を見て


―ほたるside―


「叶愛」


本当は嫌。
それでも私は叶愛の身代わりになることを選んだ。


(馬鹿だな。私)


そう思っていても、背中に回される腕に温もりを求めてしまう。


(もう、叶愛でいいや)


瑠衣のためにならない。
それでも、私は瑠衣が好きなんだ。


「諦めたつもりだったのに」


ポツリと呟く。


「え、なんて?」

「なんでもない」