悠成と野ばらには今、すごく感謝してるんだ 二人がいたから俺が生まれた 生きてるおかげで俺は こうして人を好きになる幸せを知ることができた 愛 俺を待っていてくれて 悠成 約束を守ってくれて 野ばら 幸せになってくれて カミサマ 俺を生かしてくれて 「…ありがとう」 そっと呟く。 ふと、渾身の力を込めてキスをしようとした教室での母親の姿が脳裏に浮かんだ。 人は、人を愛すると触れあいたくなる。 愛は理屈じゃないんだ。 あの時は許せなかった母親の行為は、今なら許せる。