椅子を引く音に負けないくらい、大きな音だった。


「・・・・・・?」


えと、・・・・・・何?


困惑の表情のまま、あたしは静かに席に座った。


するとメイドさん一人が小さな正方形の箱を手に持ち、あたしの横にやってきた。

すぐに、叔母さんが説明を付ける。


「柚葉ちゃん、これはね、この城の魔法、炎の魔力を増幅させるための宝石。見離さず持っててね」


ほ・・・・・・宝石?!

そんな、一週間だけの体験にどこまでリアルにしちゃうの?!


「い・・・・・・頂けません」


欲しいけど、やっぱり断る。

宝石なんか貰えない。

それに、魔力を増幅させるとか言ってたし。
魔力の無いあたしが持ってたって宝の持ち腐れだよ。