メイドさんを見ると、つい『ミミ』と呼んでしまう癖が付いちゃったかも。

髪の色から背の高さまで、全然違うのに。


ミミじゃないメイドさんは眉毛を下げて、ぷく~っと頬をふくらませた。

「女王様や私、お城の皆様・・・・・・えと、ミミだって心配してたんですよ!?まったくー。女王様にお説教されますね」

一人で喋り続けるメイドさん。


そんなことよりも、さ。

むむー。何か話し方とか口調がミミっぽい。

しかもそこで『ミミだって』って付け足してた。
自分を『私』って言ってたから、うっかり忘れちゃったんでしょ。


あたしはふふ、と笑って、失礼だけどミミを指差した。


「あなた、ミミでしょ?」


すると、メイドさんは『参った』とでも言うように両手を広げ、少し嬉しそうに、少し残念そうに微笑んだ。


「やっぱり柚葉様にはバレちゃいますね~。見破る才能があるんじゃないんですか?」

そ、そうかな・・・・・・?


ミミはうろたえる私を見て、小さく頷き、呪文をとなえた。


『カルメヌ・メタモルフィデレーネ!!』