団の方が忙しいとき、私はここには顔を出さない。
出せない。
団長もそうだったし団員にもそういう者は多い。
公演が安定するまでは宣伝やリハーサルなどで忙しく、必然的にここに来るのは安定してからになる。
《教会》のことで相談に来る。

「……占ってみるか。あの人と君は占いにくいんだが」
「いいの?」
「やってみよう」

そう言うと手早く占いの準備を始めた。
準備といってもカレーライスのゴミを片付けて紙とペンを出しただけだが。

「毎回になってすまないが、言わせてもらう」
「どうぞ」
「占いとは学問だ。学問であるからにはそこに正解はない。無理に正解を出そうとすればそこに揺らぎが生じる。故に、曖昧な答えになることもあるだろう。それを承知願いたい」
「もちろん」
「そして、あの人と君は僕の占いに必要なものが足りない。圧倒的に情報が足りない。それもまた、揺らぎになり得る。僕の占いに絶対の信頼を持ってもらっては困るんだ。僕を頼ってくれているのに申し訳ないんだが」
「そう言って、間違ったことなんてないくせに」
「偶然だ。次もそうとは限らない」

ウラは困ったように笑った。
実際に占いは当たるのだから信頼してしまうのだけれど。
それに、どんなに間違っていても恨んだりしないのに。