テントに戻ると打ち上げは終わっているようだった。
寝静まっているのがわかる。

「おかえりなさい」
「あれ、まだ起きてたの?」
「うん。フミ、待ってた」
「そっか」

女の子は眠そうに目をこすりながら酔い潰れている大人たちを介抱していたようだ。

「ありがとうね」
「大丈夫。いつものこと」
「あはは……明日は使い物にならないかな」

身近にいた団員をつついてみる。
身じろぎすらしない。

「……これは明日説教かな」

飲みすぎだ。

「あのね」
「ん?なあに?」
「《教会》、行ってくるって、言ったでしょ?」
「うん、行ってきたよ」
「だからね、待ってたの。おかえりなさい」
「……うん。ありがとう、ただいま」

頭を撫でる。
子供らは何も知らないけれど。
知らなくてもわかることはある。
だから、この団が好きだ。
暖かな家族のいるところ。
帰ってきたらおかえりなさい、と言ってくれるところ。
ただいま、と言えるところ。

「今日は一緒に寝る?」

そう提案すると、ぱあっと顔を輝かした。
首がちぎれるのではないかと思うほど頷いて肯定の意を示した女の子を抱き上げて私は寝室があるテントへと移動を始めた。


誰が呼び出したか《教会》。
私たちは神父でも聖女でもないけれど。
《イグレシア》が運ぶ幸せ。
それは死者の救済。
道に迷った死者に道を示すこと。