「……落ち着いたか?」
「うん。ごめんね」
「いい。君があの人を大切に思っているのはわかっているつもりだ。それに、悪意が《イグレシア》に向かないとも限らない。君が家族だと言う人たちに」
「ウラも家族だよ」
「それは光栄だね」
全くそう思えない口振りだった。
自分は家族ではないという拒絶。
事情はわかっているので気にしない。
もともと私が勝手に家族だと思っているだけだから。
「じゃ、行ってくるね」
「ああ。気を付けて。……そうだ、先程調理担当の団員が訪ねてきたんだ。僕のカレーライスを見て飛び出していったから今日の夕食はカレーライスだと思うよ。食べてから行くといい」
「本当!?楽しみ!!」
カレーライス!
団員の作ったものはさぞ美味しかろう!
なんたって家族の作ったものだ!!
「教えてくれてありがとう!!またね!」
「ああ、また」
苦笑しながらウラは走り出した私を見送った。
まだまだ子供だ、とでも思われたのだろうが実際子供なのだから仕方ない。
ほら、もうカレーの香りが!

