ときめきに死す


「本当に、加賀美くんはもっと自信を持つべきよ」

 ぽつり、縁は呟いた。
 彼女は真剣な表情をしていた。
 その様子に思わず私は唾を飲む。

「だって、あなたはわたしが好きになったひとよ? それは自信の足しにはならない?」

 上擦った声。
 縁の言葉には、私の中に沈んだ澱を払う力があった。

「……うん、そうだね」

 私は小さく頷いた。
 私のことを好いてくれた、彼女のために。彼女に恥じぬように。私のことを、赦せるようにならなくては。

 縁は私を見つめて、満足そうににっこり笑った。
 そしてすっくと立ち上がり

「じゃあ、次に会うまでにその後ろ向き虫を直すこと! 約束よ」

 私の手を取ると、小指と小指を絡めた。
 指切りげんまん、と歌う縁は、少女そのものだった。