恋に堕ちたら




切りのいい佐藤さんを連れて休憩室へ。



時間がだいぶ遅いからか、休憩室には誰も居なくて私と佐藤さんふたりきりだった。



自販機でコーヒーを二本買い、一本を彼に渡す。



彼は少しなぜか怯えた様な目で、目の前に置かれた缶コーヒーを眺めていたが、やがて「ありがとうございます」と小さな声と共にその缶に手を伸ばした。



「仕事、どうですか?」



ふたりっきりの空間って意外と緊張する。


特に会話がないのはなんか気まずい。


だからありきたりな質問を彼に投げ掛ける。



すると一瞬困った顔をした佐藤さん。けどすぐに返事が返ってきた。



「まぁまぁです。

って俺のする事って、どこいってもこんなもんなんで」


「………」



『こんなもん……』か。なんてコーヒーを飲む佐藤さん。


冷めた考えの持ち主なんだね、佐藤さんは。と思った。



けど、その事を口にはしなかった。


結局、そのまま私達は無言になり、気まずい感じのまま休憩を終えた。