「佐藤さんもこの電車に？」
さっきまで佐藤さんの一言に項垂れていた飯塚ちゃんは、『電車が来ました』と言った佐藤さんの台詞に反応し彼に話しかける。
「うん、俺、××町だから、これに乗らないと帰れないんだ」
佐藤さんは今度は素直に飯塚ちゃんの疑問に答え、ドアの開いた電車に乗り込む。
私達も、そんな彼の後を追い電車に乗り込んだ。
「佐藤さんって、先輩の住んでる所に近いんですね」
飯塚ちゃんは佐藤さんに聞こえないぐらいの声のボリュームで私の耳元で話しかける。
私も、そうなんだ。なんて思いながら飯塚ちゃんの手を握り締めた。
「寝ないでね！」
「はい、はーい」
本当に飯塚ちゃんは私の話し聞いているのかな？
酔っ払ってる様にも見えないし、でも、飯塚ちゃんの酔っ払ってる姿も見たことないから……。
とりあえず、遅い時間であるからか、電車はほどほどに空いていて椅子に座ることが出来そう。
何となく立ったまま電車に揺られるのは嫌だな。なんて思っていたから、よかっか。と安堵した。
