その声に顔を上げると佐藤さんがいつの間にやら私達の近くに立っていた。
そして、そんな佐藤さんに気付いた飯塚ちゃんは、急に声を張り上げた。
「あっ、佐藤さん……」
「……飯塚さんも一緒なんですか?」
「………」
佐藤さんのその一言に撃沈となった飯塚ちゃん。
なんか今日は飯塚ちゃんのレアな姿ばかり目にするな。
そんな飯塚ちゃんの背中をよしよしと慰めながら、私はふと疑問に思った事を佐藤さんに聞いてみた。
「あのー、佐藤さんは二次会行かなかったんですか?」
「え?あっ、俺、二次会に呼ばれるほどみんなとそれほど仲良くないから」
「………」
あっ、そうだよね。なーんて佐藤さんを前に言えないけど、でもよくよく考えれば、そうだよね。
何となく今日の飲みも仲よしでグループ出来上がってたし、そんな仲に入っていくのは並大抵じゃあないよね。
ましてやうちの部署に来てまだ日も浅い。
みんなの名前すらまだ裏覚えかもしれないしね。
「あのー、電車来ました」
「え?」
私は佐藤さんの声で我に返った。
あまりにも考え事に夢中で電車が来た事すら気付かなかった。


