私の台詞すら耳に届かないのか、飯塚ちゃんからは返事かなく、彼女の顔を覗き込むと飯塚ちゃんは目を閉じていた。
も、もしかして、寝てる!?
器用にも飯塚ちゃんは歩きながら寝ているみたいだ。
えーと……。
「飯塚ちゃん、飯塚ちゃん……」
私は彼女の肩を優しく揺すってみる。
すると、「ん?」なんて声と共にぱっちり閉じていた目が開く。
私がそんな飯塚ちゃんの顔を覗き込むと、飯塚ちゃんはやっと言葉を紡ぎ出す。
「あっ、私、もしかして寝てました?」
「うん、寝てた寝てた。飯塚ちゃんって案外器用なんだね」
「………」
いつから寝てたんだろ?
佐藤さんの事をしつこく聞いてきたのは寝言だったのかな?
疑問は山の様にあったが、とりあえず、先を促した。
「それより、ちゃんと帰れる?」
「大丈夫だと思いますけど、先輩がおうちに泊めてくれるって言うのなら泊まりますけど」
「………」
今日は厄日なのかな?
それにしても、飯塚ちゃんは相変わらず図々しいな。
けど、やっぱりほっておけなくて、私は飯塚ちゃんを自分の家に招く事にした。


