恋に堕ちたら




「先輩、どうでしたか?佐藤さんの隣の席。何か進展ありましたか?」



会もお開きになり、幹事を頼まれた私と飯塚ちゃんは会計を済ませ一緒にお店を出る。



みんな二次会に行く者、家路に着く者とそれぞれ別れていて、私達は帰宅組に属していた。



「あーあ、疲れた」


「で、どうだったんですか?」



飯塚ちゃんと駅へ向かいながら歩いていた。


そして、なぜかしつこく佐藤さんとの事を聞いてくる。



どうだったも何も、飯塚ちゃんは楽しそうに飲んでいたけど、私は上司の隣で気の休まる時はなかったのに。



けどさ、普通上司の隣って若い女の子がすわるもんじゃあないのかな?



なんで最近はいつも私なんだろ?



「飯塚ちゃんこそ、随分楽しそうだったじゃあない」


「………」



私の一言で飯塚ちゃんは珍しく固まった。



でもさ、一番年上の私を差し置いて自分だけ楽しむってどうなのさ?



でも、沈黙が長くなるにつれ、なんだか私が飯塚ちゃんに意地悪をしているようでいたたまれなくなり、結局私は悪くないのに飯塚ちゃんに謝る形になる。



「ごめん。別に責めてる訳じゃあないから」


「………」