恋に堕ちたら



「……相変わらず気が利かないな」



ぼそり。最後に呟いた本当に本当に小さな呟きが私の気持ちを逆撫でる。



相変わらず態度はでかいし口は悪いし。



これがもし上司じゃあなかったら、絶体に関わらないのに!!



でも、生憎この人は私の上司。



いつまでこの関係は続くのかな?



とりあえず、佐藤さんのグラスにビールを注いでから、上司のグラスにもビールをつぐ。



そんな私の態度に上司は、やっぱり不機嫌そうだったけど渋々グラスビールに口をつける。



ふぅー、疲れる。これもお仕事の一環なのかな?



そう思わないとやってらんない。



二、三人向こう側の人達はなんだか、和気あいあいと楽しげだから。




「あのー、ちょっと聞いてもいいですか?」



私はそんな飯塚ちゃん達の楽しげ雰囲気を横目に黙々と目の前に出された料理に手をのばす。



せめて会費分ぐらいの元は取らないと!!



「あのー、蒼井さん?」


私はだから気付かなかった。


佐藤さんが私に話し掛けていた事なんて。ただ食べることに集中してたから。