この会社に入社してから、かれこれ十年。



いつの間にか私にも役職がつく年頃になった。



同期の男の子みたくえらい出世はしないけど、


『リーダー』なんて呼ばれる様なそんな存在にいつの間にかなってた。なれるなんて思いもしなかったのに。



だからって偉くなった訳ではなく、ただ責任が重くなっただけなんだけど。



今日もそんな中途半端な役職のせいか、この会社に派遣されてくる人の面倒を任された。



「今回はどんな人が来るんですかね?」



そう興味津々に聞いてくるのは、私の次に古株にあたる女性社員、飯塚ちゃん。



私が上司に呼ばれ、そこで上司が話した内容を全て聞いていたらしい。



「さぁ、そこまでは上司も話してはくれないから、

ただ男の人、らしいよ」



嘘、それ本当ですか?なんて飯塚ちゃんは年甲斐もなくはしゃぎ出す。



『男の人』とは言ったけど、それが若い男だなんて言ってないのに。



けど、まだ彼女には恋愛をする意志があるらしくその姿を見ると羨ましくも思える。



ちなみに飯塚ちゃんには彼はいない。


もうかれこれそれも長い。