恋に堕ちたら




私も佐藤さんにつられ上司の方へ目線を向ける。



すると、バッチリ目が合ってしまいおいでおいでと無言のまま手で合図される。



ーー一体なんなんだろ?私何かやらかしたかな?



いくら記憶を辿っても今日の私はこれといった失敗はしていない。



口答えずここ何日かは上司の言いなりになっている。



もしかして、それが気に食わないとか!?



そんな空想に浸っていると、もう一度佐藤さんから声を掛けられた。




「課長、すごくこっちの方見て睨んでますよ!」


「………」



そろり佐藤さんに促されもう一度上司の方へ振り返る。目線を投げれば佐藤さんの言う通り鬼の形相でこっちを見てる。



「さ、佐藤さんありがとう。ちょっと行ってくる」



私は佐藤さんにとりあえず声を掛け上司の元へ。



佐藤さんもそんな私を心配そうに見詰めていた。



「とうとう年取り過ぎて耳も悪くなったか?」



上司の目の前に立つとなぜか嫌味にも取れるお言葉が私を襲う。


「あのー、それっていわゆるパワハラですか?」