恋に堕ちたら




私が黙り込んでると、飯塚ちゃんが勝手に答えてくれて、でもその言い方、少し語弊があるんだけど。



でも、敢えて訂正も入れずそのまま黙っていた。



「へぇー、蒼井って以外とナイーブなんだな」



紫煙を吐き出しながらそう呟いた上司。全く人の事を何だと思っているんだろ?



でも、口にするとまた飯塚ちゃんに『夫婦喧嘩』なんて言われちゃうから黙っていた。




◇◇◇




午後からの仕事は昼休みの件が緒を引いてか、なんとなく胸の中がムカムカするようなしないような。要は『消化不良』。



やっぱりいつもみたいに吐き出すもはちゃんと吐き出さないと駄目なんだと実感していた。



もしかして、上司に逆らうのは私なりのストレス解消だったりして?




そんな自分に苦笑いしていると、隣から声を掛けられた。



「あのー蒼井さん、さっきから課長が呼んでますよ」


「えっ?そうだった。気が付かなかったな」


「早く行った方がいいんじゃあないですか?」



佐藤さんはそう小声で囁くとちらり上司の方へ振り返った。