そ、そうだったんだ。


私を彼は守ってくれたんだ。



それなのに、私ったら。



「………」



互いに立ち止まり黙り込む。人波に逆らいながらも立ち止まる私達は、端から見るとちょっと異様な光景で、だから人目をいつの間にか引いていたらしい。



それに先に気付いた佐藤さんは私の鞄の端っこを掴みゆっくりと歩き出した。



「佐藤さん?」



急に引かれた鞄のせいか?もつれた足。



また彼に迷惑を掛けたくなくて、私は彼を呼び止めた。



「あっ、ご、ごめんなさい。蒼井さん……」


「………」



私が転び掛けた事に気付いた佐藤さん。



結局私達はまた人波を逆らうように立ち止まってしまった。



私に呼び止められ振り返った佐藤さんは、自分の取った行動に恥ずかしくなったのか俯いてしまい。



だから私も焦り始める。



「さ、佐藤さんは悪くないから。だから謝らないで」


「………」