凪とスウェル

次の週の月曜日、7:10のフェリーを待っていると、後ろからゴンッと何かが自転車にぶつかった。


何だろうと思い振り返ると、八神の乗った自転車の前タイヤが、あたしの後ろタイヤに当たっていた。


「よう」


「お、おはよ…」


八神ったら、また便を変えたんだ…。


八神があたしの横に並ぶようにして停まる。


八神はハンドルに肘をかけ、ボーッと前を見ている。


あたしもただ、フェリーが近づくのを見ていた。


『俺はお前と一緒に行きたいんだよっ』


先週の土曜日に八神に言われたことを思い出して、急に心臓の鼓動が速くなってしまう。


あんなこと言うから、こうして便が一緒になると、意識しちゃうじゃないか。


もしかして、本当に。


八神はあたしと一緒に行きたいのかなって…。