凪とスウェル

「どうしたの?すずちゃん。今日なんか不機嫌じゃない?」


休憩時間、隣の席のハルに言われ、あたしはハッとして顔を普通に戻した。


「そんなことないよ。ちょっと眠いだけ」


「そっか。それならいいけど」


やばっ。顔に出てたんだ。


気をつけなくちゃ。


「ねぇ、ハル。湯本さんって知ってる?」


八神が席にいないのをいいことに、あたしはハルに問いかけた。


「もちろん知ってるよ。湯本さんがどうかした?」


「あー、うん。今日あたしさ、その子と一緒に学校に来たのよ」


「そうなんだー。すっごい可愛いでしょ?」


「うん。ちょっとびっくりした」


「あまりに可愛いから、他校からわざわざ見に来る男子がいるくらいなんだから」


「えぇっ?そんなに?」


でも、そうだよね。


あれだけ可愛かったら当然かもしれない。


他の女子とは話さないくせに、あんな可愛い子とは話をする八神って、なんかやだなー。


「あの子、可愛いのに彼氏がいないんだよー」


「え、そうなの?」


「もちろん色んな男子が告白したみたいだけど、全員撃沈らしいわ」


「へぇ…」


やっぱり彼女、すごいんだなあ…。