凪とスウェル

「すず、ちょっと」


食器を片付けていると、作業場から隆治が顔を出した。


「なあに?」


「いいから」


隆治が手招きをする。


なんだろうと思いつつ作業場に足を踏み入れると、腕をグイッと引かれ抱きしめられた。


「えっ?ど、どうしたの?」


隆治の突然の行動に、心臓が跳ね上がる。


「エプロン姿のすずが可愛いから、つい…」


「なっ」


恥ずかしくて、顔から汗が噴き出してしまう。


「いいだろ?今、誰もいないし」


こんなこと、仕事が終わってからすればいいのに。


時々こうして、隆治はこっそりあたしを抱きしめたり、キスをしたりする。


「すず…」


「ん?」


「俺、幸せ…」


思わず顔を見上げると、隆治が優しい瞳でにっこり笑った。


「ホントに、すげー幸せ…」


隆治…。


「うん。あたしも…」


あたしはぎゅっと隆治にしがみついた。


すると隆治も、あたしをぎゅっと抱きしめてくれた。