凪とスウェル

東京に戻ってからも、幾度となく隆治に電話したけど。


おじいちゃんは取り次いでくれなかったわ。


手紙だって何通も出したのよ。


誕生日にはプレゼントだって送った。


でも、隆治は一度も返事をくれなかったよね。


だけど今思えば。


おじいちゃんが、その手紙もプレゼントも全部捨てていたのね。


そうとは知らない私は、完全に隆治に嫌われているんだって思っていたわ。


息子にここまで嫌われているなんて、そう思うと孤独で。


あたしはその孤独を埋めるように、長谷川さんと入籍した。


しばらくして、赤ちゃんが出来て、杏ちゃんが産まれて。


それはそれで幸せだったけど、私にはもう一人息子がいる…。


隆治を忘れたことなんて、一日だってなかったの。


どうにかして隆治を連れ戻したい。


その思いは日に日に強くなっていって、長谷川さんに何度も話したの。


しぶしぶだったけど、やっと承諾してくれて。


それで隆治を迎えに行ったのよ。


でも隆治は二度と来るなって言ったわよね。


もう完全に打ちのめされた気がしたわ。