凪とスウェル

さっき隆治は、私が隆治を捨てたと言っていたけど。


再婚するために、隆治が邪魔だなんて思ったことは一度もなかったわよ。


長谷川さんと隆治と三人で仲良く暮らせたら、それがきっと一番の幸せだと思ったから。


そのためにどうしたらいいか、考えたり、話し合う場が欲しかっただけなの。


これをきっかけに、おじいちゃんと仲直りもしたかったし。


孫の顔を見せれば、少しは場が和むかもしれない。


そう思ったけど、私ってやっぱりどこか考えが甘いのよね。


ますます亀裂が入っただけだった。


お前なんかに育てられて、あの子はかわいそうだなんて言われたから。


つい腹が立って、じゃあしばらく預かってくださいますか?って言ってしまったの。


その間に相手の男性と話をつけますからって。


そしたらおじいちゃん、もういい、ワシが育ててやるって。


お前は死んだことにするからなって、そう言ったの。


すごくショックだった。


ボロボロに傷ついたわ。


後ろ髪を引かれながら、島を後にした。


もう二度と帰れないんだと思ったら、涙が止まらなかった。