凪とスウェル

まだ学生なのに、妊娠したりして。


確かに、それは良いことだとは言えないかもしれない。


でもね、おじいちゃんだって私の親だもの。


きっとわかってくれるって、心のどこかで思ってたの。


自分の孫になるんだもの。


しぶしぶでも受け入れてくれて、応援してくれるかもしれないって淡い期待を抱いていたの。


だけど、まさか赤ちゃんを諦めろって言うだなんて…。


すごくショックだった。


勘当までされてしまって、帰りのフェリーと新幹線でずっと泣いたわ。


妊娠して不安なのに、ますます不安が募っていった。


もう頼れるのは、この男性しかいない。


とにかく赤ちゃんを無事産んで、ちゃんと育てようって必死だった。


隆治のお父さんは優しい人だったし、しばらくは私も落ち着いていた。


だけどそんな幸せも、たったの数年で崩れてしまった。


東京にはほとんど知り合いもいないのに、離婚だなんて…。


だけど今さら島にも帰れないし、おじいちゃんに頼ることも出来ない。


孤独で、不安で、毎日押し潰されそうだった。