凪とスウェル

まぁ俺もそうだったかもしれない。


父親がいてくれたらよかったのにって、何度思ったかわからない。


「だけど、それってやっぱりよくないことだったのよね。

やっぱり普段からよく話をして、自分の考えを聞いてもらったり、相談するべきだったのよ。

ある日突然、切羽詰まって相手に打ち明けるから、驚かせたり、ケンカになったりしてしまう」


母親は突然東京の大学に行きたいって言い出したらしいもんな。


それは、じいちゃんも驚くよな…。


「東京の大学へ進学した後は、ますますコミュニケーション不足になってたわ。

用事以外で電話をかけることもなかったし…。

あなたがお腹に出来た時、本当はすごく悩んだの。

戸惑ったし、不安だったし、怖くて怖くて…。

あなたのお父さんと沢山話し合って産む決意をして、島に帰ったけど。

私はいつも突然だから、やっぱりおじいちゃんを驚かせてしまうだけで…。

結局大喧嘩になってしまった…」


へぇ…。


そうだったんだ。


母親は母親なりに、色々悩んでいたんだな…。